日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレメンス(5世)」の意味・わかりやすい解説
クレメンス(5世)
くれめんす
Clemens V
(1264―1314)
最初のアビニョン教皇(在位1305~14)。フランス人。ベルトラン・ド・ゴBertrand de Gotが本名。もとボルドー司教。教皇に選出されたのちもフィリップ4世の圧力下にあってボニファティウス8世を批判、王の正当性を認め、1309年教皇座をローマからアビニョンに移し、さらにビエンヌ公会議(1311~12)において、テンプル騎士修道会の解散を宣言した。気の弱い自主性に欠けた人物として評されるが、教会機構、とくに司法制度の刷新に功績があった。
[磯見辰典]
『鈴木宣明著『ローマ教皇史』(教育社歴史新書)』▽『H・テュヒレ他著、上智大学中世思想研究所編・訳『キリスト教史4』(1981・講談社)』