日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クノー(Heinrich Cunow)
くのー
Heinrich Cunow
(1862―1936)
ドイツの経済史家、社会学者、人類学者。メクレンブルクのシュウェーリンで生まれる。初めは商業に従事したが、独学で社会主義を研究し、1917年から1923年にかけて、ドイツ社会民主党の機関紙『ノイエ・ツァイト』(新時代)の編集者になった。1917年のロシア革命のときにはボリシェビキに反対し、カウツキーらとともに修正派マルクス主義の代表者とみなされている。第一次世界大戦後のドイツ革命でできたワイマール共和国のもとで、1919年にベルリン大学の国家学の教授になり、マルクス主義の立場から経済史に裏づけられた特異な国家学を講じたが、のちにナチスに追われた。彼の歴史、社会理論は、自然的、地理的条件を重視するもので、それだけマルクス主義における社会的条件の強調が希薄になっているといわれる。主著としては『マルクスの歴史・社会および国家理論』2巻(1920~1921)、『一般経済史』4巻(1926~1931)などがある。
[河村 望]
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