キーウィフルーツ(英語表記)kiwi fruit
chinese gooseberry
Actinidia chinensis Planch.

改訂新版 世界大百科事典 「キーウィフルーツ」の意味・わかりやすい解説

キーウィフルーツ
kiwi fruit
chinese gooseberry
Actinidia chinensis Planch.

中国原産で,ニュージーランドで栽培果樹に育成されたマタタビ科のつる性木本。名は果実がニュージーランドの象徴キーウィに似ることに由来する。しかし,もともとは中国の長江南部に自生するシナサルナシ羊桃)の種子が1906年にニュージーランドに導入され,その実生苗から改良されたものである。日本へは64年に果実が輸入され,69年に実生苗と導入苗から初結実をみて,近年栽培面積が増加している。葉は互生し柄があり,円心形。花は雌雄異花,どちらも乳白色でのちには黄褐色をおびる。果実は褐色毛に覆われ,長さ数cmの卵球形ないし円筒形断面は鮮やかな緑肉に黒アワ粒状の種子を同心円状に配して美しく,果汁が豊かで淡い甘みとともに酸味がさわやかである。ミカンの育つ所ならよく育ち,仕立ても剪定せんてい)もほぼブドウに準じるが,雌雄異株のため結実には授粉用雄株が必要である。おもな品種はヘイワード,アボット,ブルーノなど。南西暖地では晩秋収穫しセイヨウナシ同様に追熟して,生食,サラダ,ババロア,ヨーグルト,ケーキ用とする。日本に野生する近縁サルナシの果実も,毛はなく小型であるが食用とされる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キーウィフルーツ」の意味・わかりやすい解説

キーウィフルーツ
Actinidia chinensis; kiwi fruit

マタタビ科の落葉つる植物。シナスグリともいう。中国南部原産で,紅藤梨,羊桃の名がある。雌雄異株。6~7月に白い五弁花をつけ,8~10月に実を熟す。キーウィに似た褐色の果実は,全面に毛をもつ。中心部はクリーム色で中央に軟種子が集まる。ニュージーランドが主産地。日本には近縁種のナシカズラ A. rufaが自生する。

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世界大百科事典(旧版)内のキーウィフルーツの言及

【サルナシ】より

…【松井 仁】。。…

【マタタビ】より

…【初島 住彦】。。…

【マタタビ】より

… マタタビ科Actinidiaceaeは3属約300種からなり,熱帯,亜熱帯に種類が多いが,温帯に分布するものもあり,つる性となるものが多い。この科に属するキーウィフルーツは中国原産のシナサルナシA.chinensis Planch.がニュージーランドで品種改良され,果樹に育成されたものである。【初島 住彦】。…

【有毒植物】より

…ヤマノイモ,サトイモ,カラスビシャク,マムシグサなどの根茎にはシュウ酸カルシウムの鋭くとがった針状結晶が存在し,皮膚を刺激し炎症をおこす。コンニャク,キーウィフルーツでも同じ現象がみられるが,原因をシュウ酸カルシウムだけとする説には疑問がある。ウルシ,ハゼノキ,ヌルデ,マンゴーなどウルシ科植物による強いアレルギー性皮膚炎の原因は含有成分のウルシオールにある。…

※「キーウィフルーツ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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