山川 世界史小辞典 改訂新版 「カガン(カン)」の解説
カガン(カン)
khaghan (khan)
ハガン,ハン,ハーンともいう。内陸アジアの遊牧国家の君主の称号。后の称号はカトン(可敦)。古くは,4世紀半ばに鮮卑(せんぴ)が建てた北魏で「可寒(かかん)」の用例があり,5世紀初めには柔然(じゅうぜん)の首長が「可汗(かがん)」と称したことが知られている。突厥(とっけつ),ウイグルでも君主の称号としてカガンkhaghanが使われた。モンゴル帝国では,カガンのghが吸収されカアンkha'anとなり,皇帝のみがカアン,一般の君侯は明確に区別されてカンと呼ばれた。しかし,それ以降はこの区別が厳密でなくなり,モンゴル語ではカガン(ハガン,ハーン)khaghanとカン(ハン)khanが併用され,イスラーム史料ではほぼハーンkhānに一本化される。カかハかについては,現代モンゴル語ではハに近いが,モンゴル帝国時代のモンゴル語ではカに近かったとする説がある。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報