オラン港事件(読み)オランこうじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オラン港事件」の意味・わかりやすい解説

オラン港事件
オランこうじけん

1940年7月3日イギリス海軍がアルジェリアのオラン港西方の軍港メルセルケビルに停泊中のフランス艦隊攻撃,壊滅した事件。同年6月ドイツがフランスに侵攻したとき,フランスの主要艦隊はメルセルケビルに避難した。イギリスはこの艦隊がドイツの手に落ちてイギリス本土攻撃に利用される急迫した重大な危険を認め,フランス艦隊司令官に対し,ドイツを敵としてイギリスに加担せよ,加担しない場合は,イギリスの監督もとにイギリスに行くか,これも認めない場合は自沈せよと,求めた。しかし,それらがいずれも拒否されたため,イギリスは実力でフランス艦隊を壊滅させた。

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世界大百科事典(旧版)内のオラン港事件の言及

【緊急避難】より

…この事件は,ナポレオン戦争中に発生したもので,イギリスは,デンマーク艦隊がナポレオンのイギリス侵略の手段に用いられることをおそれ,デンマークに,イギリスと同盟を結ぶか,あるいは戦争終了まで艦隊をイギリスに引き渡すかを要求したが,デンマークがそれを拒否したため,イギリスはデンマーク艦隊を攻撃し,接収した事件である。また,類似の事件に,第2次大戦初期の1940年に発生したオラン港事件がある。この事件は,フランスがドイツに屈服した際,イギリスは,フランス領のオラン港に避難したフランス艦隊がドイツの手に入るのをおそれ,フランス艦隊司令官に対し,イギリス海軍と協力するか,イギリスの監視下に入るか,みずから武装解除するか,自沈するかを要求したが,フランス艦隊司令官がその要求をすべて拒否したため,フランス艦隊を攻撃しその大半を撃沈した事件である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」