エフレーモフ(Ivan Antonovich Efremov)(読み)えふれーもふ(英語表記)Иван Антонович Ефремов/Ivan Antonovich Efremov

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

エフレーモフ(Ivan Antonovich Efremov)
えふれーもふ
Иван Антонович Ефремов/Ivan Antonovich Efremov
(1907―1972)

ソ連の古生物学者、SF作家。ゴビ砂漠恐竜の発掘者としても著名。第二次世界大戦で中断されたソ連SFがリバイバルするに際して、1950年代から1960年代にかけて指導的役割を果たした。最初のSF短編集『五つのポイント』を1944年に刊行。中編『星の船』(1949)を経て、1957年には代表作『アンドロメダ星雲』を発表した。これは、英米作家が好んで描くペシミスティックな未来小説に対するアンチテーゼとして執筆されたユートピア小説であり、マルクス主義の立場から空想と科学の関係を弁証法的にとらえるというSF論を実践した作品である。続編にあたる『蛇座の心臓』(1959)、『丑(うし)の刻』(1969)など、人間理性の賛歌ともいうべき楽天的なSFのほかに、実験的な歴史ファンタジー『アレクサンドロス王冠』(原題かみそりの刃』、1963)がある。

厚木 淳]

『飯田規和訳『世界SF全集22 エフレーモフ』(1969・早川書房)』

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