エネルギー外交[日本](読み)エネルギーがいこう[にほん]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エネルギー外交[日本]」の意味・わかりやすい解説

エネルギー外交[日本]
エネルギーがいこう[にほん]

1970年以降の世界的な資源問題意識の高揚,73年秋のアラブ石油輸出国機構 OAPEC石油戦略に触発され日本外交の主要なものの一つになった外交課題。当時日本は関西の主婦が「石油が来なくなるとトイレットペーパーがなくなる」との流言におびえ,スーパーマーケットに殺到したり,産油国に通産大臣特使を送り込み,石油供給の代償に政策を親イスラエルから親アラブに変更するなどもろさを露呈した。資源問題はローマ・クラブの『成長の限界』 The Limits to Growth (1972) に触発されたものであり,その底流のうえに 73年第4次中東戦争の戦術として石油禁輸政策がとられ,この課題は日本外交上決定的なものとなった。基本的に産業エネルギーの 73.5%を石油に依存し,全石油需要の 99%を海外輸入に求めている日本の立場は脆弱であり,そのうえとりわけアラブ諸国への外交的対応のまずさはこの外交課題の追求について日本の地位を多分に弱めた。さらに石油代替エネルギー源の重要なものである核エネルギーについては日本の求める核燃料再利用の国産化政策が,アメリカ核不拡散条約原子力協定による干渉に直面している。

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