インフラ老朽化(読み)いんふらろうきゅうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インフラ老朽化」の意味・わかりやすい解説

インフラ老朽化
いんふらろうきゅうか

鉄道、道路、水道鉄塔など、社会インフラが経年により劣化すること。2012年(平成24)12月、中央自動車道上り線笹子トンネル(山梨県大月市)にて約140メートルにわたって天井板と隔壁板が落下し、走行中の自動車3台が下敷きになり、うち2台が出火して9人が死亡する事故が発生した。天井板のつり金具を支えるボルトに施工時から十分な強度がなかったことや、ボルトを固定する接着剤が劣化していたことなどの複合的な要因により、落下したとみられている。同年7月には大阪府堺(さかい)市で40年以上前に敷設された水道管破裂、3万世帯以上が断水した。

 日本では、とりわけ太平洋側の人口密集地帯には1960~1970年代につくられたコンクリート製の巨大構造物が多いが、1990年代以降の継続的な公共工事予算縮小により、耐用年数の目安である50年を超えても改築や修理・補強を行わないまま、表面的な点検のみを行っているケースが多い。そこで国はインフラ老朽化対策費として、2012年度補正予算において防災・安全交付金を創設、地方公共団体が行うインフラの点検、補強などの取り組みに対する支援を集中的に進めていく。また老朽化対策と震災対策をあわせた国土強靱(きょうじん)化基本法が2013年12月に成立した。

[編集部]

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