イブン・ハンバル(読み)いぶんはんばる(英語表記)Amad Ibn anbal

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イブン・ハンバル」の意味・わかりやすい解説

イブン・ハンバル
いぶんはんばる
Amad Ibn anbal
(780―855)

イスラム教スンニー派の四大法学派の一つ、ハンバリー学派の創始者。バグダードでイスラム諸学を学ぶ。彼の法学は、コーランおよび預言者ムハンマド(マホメット)の言行を伝えるスンナ範例)に字義どおりに従うことを強調する。アッバース朝カリフマームーンが合理主義的なムゥタジラ派神学を公認教義と定め、他の教説を異端として弾圧した際にも、ムゥタジラ派の主張するコーラン被造説を、伝統主義の立場からあくまで承認せずに獄に下った。

鎌田 繁 2018年4月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブン・ハンバル」の意味・わかりやすい解説

イブン・ハンバル
Ibn Ḥanbal

[生]780.11. バグダード
[没]855.7.31. バグダード
イスラムの伝承学者,法学者。イスラム法の四大学派のうちのハンバル派の祖とされる。 810~813年シャーフィイーにつき法学を学ぶが,師のシャーフィイーより伝承に固執した。 833年カリフ,マームーンの異端審問に抗して投獄される。預言者ムハンマドの言行 (ハディース) を約3万項目にもわたって『ムスナド』 Musnadに集録。ハンバル派はイブン・ハンバルの死後成立した。

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