アラウシオの戦(読み)アラウシオのたたかい

改訂新版 世界大百科事典 「アラウシオの戦」の意味・わかりやすい解説

アラウシオの戦 (アラウシオのたたかい)

前105年キンブリ族がガリア・ナルボネンシス州のアラウシオArausio(現,フランスのオランジュ近郊で,ローマ正規軍の5軍団を全滅させた戦い。すでに前113年以来ローマは数度キンブリ族と衝突して敗れていたが,アラウシオでの敗戦はローマ・ゲルマン交渉史上ローマが喫した最初の大敗北であり,また中小農民の没落によるローマの軍事力低下を象徴するものであった。この敗戦の衝撃を背景に,マリウスが前104-前101年,連年コンスルに起用され,無産市民を編入した軍隊で対ゲルマン防衛の任にあたった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアラウシオの戦の言及

【ローマ】より


[末期,内乱期(前133‐前31)]
 海外領支配によるローマ社会そのものの変質と,ローマ軍の弱体化という深刻な問題を解決すべく,グラックス兄弟(兄ティベリウス,弟ガイウス)は相次いで護民官となり(兄は前133,弟は前123),土地の再分配政策を掲げて改革運動を行ったが,いずれも反対派によって殺された。このためローマは,北アフリカではヌミディア王ユグルタとの戦争(前112‐前105)に苦戦し,ゲルマン人のテウトニ族,キンブリ族の侵入の前にも相次いで敗れ(前114,前113),ついに前105年アラウシオの戦でキンブリ軍のために全滅した。名門出身ではない新人のマリウスは将軍となってユグルタを降し,また,貧民から志願兵を徴募するという兵制改革を行ってゲルマン人を敗退させることに成功した(前102,前101)。…

※「アラウシオの戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android