アクアティント

百科事典マイペディア 「アクアティント」の意味・わかりやすい解説

アクアティント

18世紀に発明された腐食銅版画一種版面樹脂の粉をふり,熱を加えて定着させ,不必要な部分ワニス等で防食しておいて腐食液に浸すと,粒のすき間だけを酸が侵して版面に梨地斑点ができる。腐食時間の差,粉の散布の密粗等で濃淡変化をつける。

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世界大百科事典(旧版)内のアクアティントの言及

【凹版】より

…印刷するときに用いる版の一種で,彫りくぼめたところにインキをつめて印刷する方式のものをいう。平らな銅などの金属面に手彫りなどによって彫りくぼめる方法と,写真を利用して彫りくぼめる方法(いわゆる写真製版の利用)とに大別される。前者はさらに彫り方によって,ドライポイント,メゾチントなど直接金属面を彫る彫刻凹版(直刻凹版ともいう)と,版材に薬品を作用させ腐食によって彫りくぼめるエッチング,アクアチントなどの食刻凹版に分けられるが,実際にはこれらの手法を混用することも多い。…

【銅版画】より

…風俗版画にA.ファン・オスターデ,風景にロイスダールJacob van Ruisdael(1628か29‐82),イタリア風の風景にブレーンベルフBartholomäus Breenbergh(1599‐1659以前),ボトJan Both(1610‐52),ベルヘムNicolaes Berchem(1620‐83),デュジャルダンKarel Dujardin(1622‐78),スバネフェルトHerman van Swanevelt(1600ころ‐55ころ),海景にド・フリーヘルSimon Jacobsz.de Vlieger(1600ころ‐53),ゼーマンReynier Zeeman(1623ころ‐67ころ)ら極盛期の観を呈する。スペインでは黄金時代の画家たちも余技程度にしか制作しないが,18世紀末にゴヤがアクアティントを併用しながら4種の大連作をつくり,19,20世紀に強い影響を与えた。各種の本の挿絵としても銅版画が用いられ,それらがエングレービングの体裁をとる場合にもしばしばエッチングによって版のおおよそをつくることが多かった。…

【版画】より

…メゾティントは白黒写真のように絵画の明暗の調子を確実に複製でき,18世紀のオランダとイギリスでことに流行した。アクアティントは松やにの粉(現代では砂糖なども)を防食剤として,水彩画的な画法が可能であり,18世紀中期のフランスのル・プランスJ.B.Le Prince(1734‐81)によって考案された。このような種々の製版技法を混用することも多い。…

※「アクアティント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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