のみ行為(読み)のみこうい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「のみ行為」の意味・わかりやすい解説

のみ行為
のみこうい

証券取引所の会員である証券業者が委託注文を受けながら、その注文を取引所に出さず、業者自らがその相手方となって直接売買し、顧客に対しては取引所を通じて売買したように見せかけて決済を済ませる行為をいう。業者が自分のところに呑(の)み込んで、市場に出さないことからこの名がある。のみ行為には、業者が顧客に相対(あいたい)で行う「丸のみ」と、ある客の売りや買いに他の客の売りや買いを付き合わせて業者のところで処理する「食い合わせのみ」とがある。のみ行為はいずれも取引集中による公正な価格の形成を妨げ、顧客の利益を害するおそれがあるため禁止されていた。しかし、1998年(平成10)より取引所集中義務が廃止されていることから、2004年(平成16)に証券取引法(現、金融商品取引法)を改正し、「最良執行義務」を課すことにより、のみ行為の禁止が削除された。なお、商品取引においては、商品先物取引法第212条により禁止されている。また、競馬競輪など公営ギャンブルの投票券を私的に売買することも「のみ行為」といい、これも競技ごとに制定されている特別法により禁止されている。

[桶田 篤・前田拓生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例