きのふはけふのものがたり(読み)きのうはきょうのものがたり

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

きのふはけふのものがたり
きのうはきょうのものがたり

仮名草子。「昨日は今日の物語」とも書く。江戸初期成立の短編笑話集。2巻。作者不明。古活字版、整版本ともに諸本があり、大半は共通話であるが、諸本間の咄(はなし)の出入りも多く、表現にも差があり一定しない。1636年(寛永13)の整版本では153話。文禄(ぶんろく)・慶長(けいちょう)(1592~1615)ごろの実在人物の滑稽譚(こっけいたん)、逸話、あるいは一般的な笑話を収める。本書祖型とみられる『戯言養気集(ぎげんようきしゅう)』に比べると、ぐっと一般化、庶民化しており、また猥雑(わいざつ)な好色譚が多いのが特色である。

[岡 雅彦]

『武藤禎夫・岡雅彦編『噺本大系1』(1975・東京堂出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例