「株式会社マレーシア」政策(読み)かぶしきがいしゃまれーしあせいさく

知恵蔵 の解説

「株式会社マレーシア」政策

1981年に首相に就任したマハティールはマレー人社会への分配重視政策から、マレーシア社会全体の成長・開発重視へと政策転換を図った。とりわけ工業化の促進、マレー人企業家・経営者の育成に力を注いだ。就任直後の演説で工業化政策の範を日本と韓国にとったため、「ルック・イースト」政策(Look East Policy)と呼ばれる。代表例が80年設立の重工業公社(HICOM)を中核とした重工業化政策で、HICOMと三菱グループとの合弁企業プロトン社は、乗用車を輸出するまでに成長した。マハティールの政策は従来の公営企業中心の開発政策ではなく、政府が民間部門を育てる官民協調特色がある。83年に公表した「株式会社マレーシア構想」は「株式会社日本」をモデルとし、政府と民間による様々な政策協議会を設立、政策決定にもこうした協議会を関与させた。しかし、アブドラ政権になってからはマハティール時代の巨大プロジェクト優先主義が見直されている。

(片山裕 神戸大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android