ブラウン(Fredric Brown)(読み)ぶらうん(英語表記)Fredric Brown

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ブラウン(Fredric Brown)
ぶらうん
Fredric Brown
(1906―1972)

アメリカのSFと推理小説の作家。オハイオ州シンシナティ市生まれ。SF短編を1941年から書き始めた。軽妙洒脱(しゃだつ)、ぴりっとした風刺とコミックな落ちの利いた作風は当時としては珍しいもので、のちに短編集『天使と宇宙船』(1954)や『未来世界から来た男』(1961)などにまとめられた。短編とショート・ショートの名手であるが、奇抜な着想と巧みなプロット構成は長編においても同様で、異次元テーマの『発狂した宇宙』(1949)、ユーモアSFの『火星人ゴーホーム』(1955)、エーリアン・テーマの『73光年の妖怪(ようかい)』(1961)などの作品がある。SFと並行して推理小説にも手を染め、私立探偵エド・ハンター・シリーズの第一作『シカゴ・ブルース』(1947)でアメリカ推理作家協会賞を受賞し、同シリーズは7編、ほかに15編ほどの長編と短編集『まっ白な嘘(うそ)』(1953)などがある。

厚木 淳]

『井上一夫訳『73光年の妖怪』(創元推理文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例