ARS(文芸雑誌)(読み)あるす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ARS(文芸雑誌)」の意味・わかりやすい解説

ARS(文芸雑誌)
あるす

文芸雑誌。1915年(大正4)4月より10月まで7冊発行。『地上巡礼』の発展的継承誌。編集北原白秋、発行所は白秋の弟鉄雄の経営する阿蘭陀(おらんだ)書房森鴎外(おうがい)、上田敏(びん)を顧問とする。誌名のARSはラテン語で芸術を意味する。創刊号の編集後記に「理想的の真摯(しんし)な大芸術雑誌たらむ」とあるように、白秋自らの芸術観を香り高く、ぜいたくに打ち出した雑誌。白秋、吉井勇萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)、室生犀星(むろうさいせい)、大手拓次(おおてたくじ)らの詩歌高村光太郎、堀口大学らの翻訳のほか、鴎外の3編の現代小説も注目される。なお白秋門下の巡礼詩社の人たちの作品もあわせ掲載されている。

[大屋幸世]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例