養蚕機械(読み)ようさんきかい

改訂新版 世界大百科事典 「養蚕機械」の意味・わかりやすい解説

養蚕機械 (ようさんきかい)

養蚕作業に用いる機械の総称。桑園作業用と育蚕用に大別される。桑園用としてはトラクターが普及しているが,そのほとんどが歩行型二輪トラクター(管理機または耕耘(こううん)機)で,ロータリー,動力噴霧機,施肥機などの付属機を装着し,施肥・除草・防除などの作業が行われている。収穫作業の省力化の要請が強いが,普通桑園用では半畦刈あるいは跨畦式の歩行型条桑刈取機,密植桑園用では水稲用を改良したバインダー型が開発されている。また,簡易なハンディ型の桑刈機として丸のこ利用のものや圧搾空気利用の剪定せんてい)ばさみも開発・利用されている。最近,条桑刈取機と桑こき機,カッターを組み合わせた桑葉収穫機が研究・開発された。桑園造成の機械化体系も確立されているが,四輪用土壌消毒機,ポリマルチ機,桑苗植付機などの開発も進んでいる。

 育蚕用には自動飼育機があり,稚蚕用と壮蚕用に大別される。全国養蚕農家のほとんどは委託飼育も含めて稚蚕共同飼育所に依存しているが,共同飼育所の約1割に稚蚕用自動飼育機が導入されており,方式として水平移動式,らせん循環式,多段循環式がある。壮蚕用自動飼育機には多段循環式と水平移動式があるが,全国でそれを利用している農家はひじょうに少ない。比較的安価で給桑・上蔟(じようぞく)作業の省力化に大きく貢献しているものに,壮蚕用簡易飼育装置がある。これは条桑育用の飼育枠(鉄製木製とがある)とその上を走る配桑台車の型式が主で,全国養蚕農家の約4割(飼育量で約5割)が利用している。上蔟用には動力条払機,収繭用には自動収繭毛羽取機がかなり普及し省力化に役だっており,上蔟後の条桑育蚕座の片づけにはショベルローダー,マニアホークなどが大規模農家で利用されている。
養蚕
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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