飯沼郷(読み)いいぬまごう

日本歴史地名大系 「飯沼郷」の解説

飯沼郷
いいぬまごう

和名抄」には「飯猪」とみえるが訓を欠く。「下総旧事考」は「猪ハ潴ノ誤リニテ。潴ハ沼ト云義。横曾根村ノ内ナル飯潴ノコトナルベシ。今弘経寺ノアル地ノミヲ飯沼トイヘド。サニハアラデ」として現水海道みつかいどう豊岡とよおか町の飯沼地区一帯に比定している。しかし享保年間(一七一六―三六)までは現猿島さしま郡・結城郡・岩井市・水海道市域に及ぶ、飯沼とよばれる広大な低湿地が存在し、この沼の縁辺という以上の特定は困難である。近世弘経ぐぎよう寺の朱印地が飯沼郷・飯沼村とよばれたこともあるが、これは下総国内に浄土宗の弘経寺が三ヵ寺(他は現結城市と現取手市)あり、これを区別するため、現水海道市の弘経寺が飯沼の東南縁にあたるので飯沼弘経寺と通称され、寺領も飯沼郷といわれたもので、古代郷名とのかかわりはない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android