飛滝神社(読み)ひろうじんじや

日本歴史地名大系 「飛滝神社」の解説

飛滝神社
ひろうじんじや

[現在地名]那智勝浦町那智山 飛滝

那智滝前の広場「お滝もと」の左脇にある。那智大滝(一の滝)を神体とする神社で、本殿はなく拝殿のみで、滝の前方二〇〇メートルの所にある自然石に金幣を飾り、祭壇が設けられている。「お滝もと」が斎場で、それを囲む玉垣の手前に鳥居が建つ。斎場奥の滝近くにお滝祈願所と滝壺拝所がある。祭神大己貴おおなむち命。旧郷社。古くは飛滝権現といい、現在は熊野那智大社の別宮となっている。「続風土記」に「滝を神霊とし飛滝権現と称す(中略)此地其神体のいます地なるを以て滝本と称し、本地堂を立て本社と同く崇奉せり」とみえる。

当社の起源には諸説があるが、戦国時代に書写されたという熊野山略記に「那智山者、本垂者飛滝権現、最初根本地主権現ト顕給」とあり、大滝を神体と仰ぐところに由来し、当初は地主神として祀られたとする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の飛滝神社の言及

【那智滝】より

…原生林が繁茂する山中には四つの渓流と多くの支流が流入して各所に滝があり,総称して〈那智四十八滝〉という。一般に那智滝といえばこのうち一ノ滝のことで,〈那智大滝〉〈お滝〉と呼ばれ,熊野那智大社の別宮飛滝(ひろう)神社の神体とされる。石英粗面岩の断崖を落下する落差は133m,幅は13m,滝壺の深さは10mで国指定名勝。…

※「飛滝神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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