頸性めまい

内科学 第10版 「頸性めまい」の解説

頸性めまい(めまい)

(5)頸性めまい(cervical vertigo)
 頸椎頸部の諸構造の異常によって椎骨動脈の血流低下を生じ,末梢性や中枢性のめまいが起こる.末梢性の頸前庭症候群では数秒~数分持続する回転性めまいが首の動きに伴って起き,良性発作性頭位めまいとは,浮遊耳石置換法が無効,頸椎・頸部の異常があるなどで鑑別する.椎骨脳底動脈循環不全(vertebrobasilar insufficiency:VBI)は,頸椎や頸部筋などによる椎骨動脈や周辺の交感神経の圧迫,椎骨や脳底動脈(ときに大動脈・鎖骨下動脈)の動脈硬化性病変(狭窄閉塞解離など)により起きる.めまい,悪心・嘔吐が数分~数日続き,意識障害,構音障害,運動や感覚障害,視野障害などが随伴し,失神する場合もあるPowers症候群(椎骨動脈起始部の走行異常のため頭部回転により周囲組織に圧迫されて血流不全をきたす)やBarre-Lieou症候群(頸椎病変により椎骨動脈周囲の後頸部交感神経叢が圧迫され血流障害をきたす)なども頸性めまいに含まれる.
 根本治療は血管圧迫や血管狭窄の外科的あるいは血管内治療であるが,頸部牽引,薬物療法(抗めまい薬,血管拡張薬,ときに筋弛緩薬)なども有効である.[山本纊子]
■文献
Brandt T: Vertigo―Its Multisensory Syndrome, Springer-Verlag, London, 1991.
Epley JM: The canalith repositioning procedure: Fortreatment of benign paroxysmal positional vertigo. Otplaryngol Head Neck Surg, 107: 399-404,1992.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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