非古典的カルボニウムイオン(読み)ヒコテンテキカルボニウムイオン

化学辞典 第2版 の解説

非古典的カルボニウムイオン
ヒコテンテキカルボニウムイオン
nonclassical carbonium ion

二電子三中心型のカルボカチオンをいう.exo-2-ノルボルニル-p-トルエンスルホン酸エステルの加溶媒分解(ソルボリシス)速度と,生成物立体化学の異常性をもとに,σ結合が関与して安定化したカルボカチオン中間体として提唱された.その構造(図(a))は,三配位のカルボカチオン(図(b)~(d))の共鳴混成体であり,これらの平衡混合物ではない.三配位の炭素陽イオンのカルベニウムイオンカルボニウムイオンとよばれていたころであったので,これを非古典的カルボニウムイオンとよんだ.その後,溶液中のNMRスペクトルやX線光電子分光(ESCA)などにより,非古典的カルボニウムイオンの存在は五配位の炭素陽イオンとして確認されている.しかし,反応中間体としての存在については異論もある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android