青蓮岡文化(読み)せいれんこうぶんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「青蓮岡文化」の意味・わかりやすい解説

青蓮岡文化
せいれんこうぶんか

中国、江蘇(こうそ)省淮安(わいあん)県の青蓮岡遺跡を標準遺跡とする新石器時代文化。青蓮岡遺跡は1952、53年に調査されているが、不明の点が多く、青蓮岡文化の考古学的文化内容は、青蓮岡遺跡以外の南京(ナンキン)市北陰陽営(ほくいんようえい)遺跡、江蘇省新沂(しんぎ)県花庁村遺跡、邳(ひ)県大墩子(だいとんし)遺跡、邳県劉林(りゅうりん)遺跡、上海(シャンハイ)市青浦県崧沢(すうたく)遺跡などからうかがい知ることができる。この文化は淮河(わいが)下流域、揚子江(ようすこう)下流域に紀元前4000~3000年代に栄えた稲作農耕文化で、特色のある彩陶や玉石器類をもっている。土器には、灰陶、黒陶、彩陶などがあり、器形には壺(こ)、盆、鉢、盤、豆(とう)、坏(はい)、三足器などが知られる。石器には、刀、斧(おの)、(ほん)、鑿(のみ)などがあるが、とくに墓に副葬された石刀や有孔石斧(ゆうこうせきふ)、玉璜(ぎょくこう)、玉玦(ぎょくけつ)がこの文化を特色づけている。

 青蓮岡文化を淮河下流域の江北類型と揚子江下流域の江南類型に分け、地域的に異なった二つの文化類型と認識する考えがある。また、山東省方面の大汶口(だいぶんこう)文化と青蓮岡文化江北類型を一つの文化とみて、この二つの文化を「大汶口文化」と一つの名称でよび、青蓮岡文化江南類型を「馬家浜(ばかひん)文化」の名称でよぶ場合もある。

[飯島武次]

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