雷雨(オストロフスキーの戯曲)(読み)らいう(英語表記)Гроза/Groza

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

雷雨(オストロフスキーの戯曲)
らいう
Гроза/Groza

ロシアの劇作家A・N・オストロフスキーの五幕戯曲。1859年作。夢見がちな乙女カテリーナは、見ず知らずの男のもとに嫁ぎ、因習と頑迷に凝り固まった婚家で姑(しゅうとめ)の叱責面罵(めんば)に耐えながら、愛のない夫に心のよりどころをみいだすことができず、恋人にかけた期待も裏切られ、絶望の果てにボルガ川に身を投げて死ぬ。作者は、この女主人公を自殺にまで追いやった偽善迷信、残忍なロシア社会を、深い真実と詩情のなかに描き出し、激しい憤りを込めて告発している。

[野崎韶夫]

『米川正夫訳『雷雨』(『ロシア文学全集35』所収・1959・修道社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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