雪洞(ぼんぼり)(読み)ぼんぼり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雪洞(ぼんぼり)」の意味・わかりやすい解説

雪洞(ぼんぼり)
ぼんぼり

灯火具の一種手燭(てしょく)または燭台に紙、絹布などをはった火袋(ほぶくろ)を取り付けたもの。これを「ぼんぼり」というのは、「ほんのり」の語の転訛(てんか)で、灯火を紙、絹布などで覆い、火影がほのかに透いてさだかならぬをいったという。初め広く灯火、茶炉(さろ)などに取り付けた覆いのことであったが、ついで、小形の行灯(あんどん)をいうようになり、のち、もっぱら紙、絹布などをはった火袋を取り付けた手燭、燭台をよぶようになった。その火袋には、普通、口を開いた六角筒のものが用いられ、ほかに円筒形、棗(なつめ)形、蜜柑(みかん)形のものなども用いられた。雪洞の手燭は、もっぱら臨時の手元・足元の照明に利用され、雪洞の燭台は、常夜灯として座敷などに据え置かれた。いまでも雪洞の燭台は、3月の雛(ひな)人形の飾り段や園遊会の会場などに装飾灯として用いられている。

[宮本瑞夫]

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