隠の(読み)こもりくの

精選版 日本国語大辞典 「隠の」の意味・読み・例文・類語

こもりく‐の【隠の】

(「く」は場所、所の意。両側から山が迫って、これに囲まれたような地形であるところから) 地名初瀬」にかかる。「はつ」に身が果つの意をふくませて、死者を葬る場所の意をこめている例もあるといわれる。
古事記(712)下・歌謡「許母理久能(コモリクノ) 泊瀬の山の 大峯(おほを)には 幡(はた)張り立て」
万葉(8C後)一・四五「隠口乃(こもりクノ) 泊瀬の山は 真木立つ 荒き山道(やまぢ)を」
[語誌]「皇太神宮儀式帳」(八〇四)や「倭姫命世記」(一二七〇‐八五頃)には「許母理国志多備之国」と続いた例があり、「したびの国」に続く枕詞の例となっている。「したびの国」は黄泉(よみ)の国で、死者のおもむく所であるから、「こもる」には身を隠す意で死ぬ、葬るなどを暗示していると見ることが可能である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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