陽性症状(読み)ようせいしょうじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陽性症状」の意味・わかりやすい解説

陽性症状
ようせいしょうじょう

統合失調症症状の一つ。幻覚幻聴、およびさまざまな妄想がおもなものである。妄想には、周囲言動できごとが意図的に自分に関係すると信じる関係妄想、自分が脅かされていると感じる被害妄想、また誇大妄想嫉妬(しっと)妄想などがある。ほかに自分の考えや行動が他人に操られていると感じる作為体験(させられ体験)、自分の考えが周囲に伝わって知られてしまうと感じる思考伝播(でんぱ)(考想伝播)などの自我傷害や思考滅裂などを伴う。脳のなかの中脳辺縁系の活動亢進(こうしん)に関連しておこると考えられている。この対極にあるのが陰性症状である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の陽性症状の言及

【精神分裂病】より

…現存在分析を創始したスイスの精神医学者ビンスワンガーの主著で,1957年に単行本の形で刊行された。5例の精神分裂病のくわしい症例研究からなるが,30年代に著者が独自の人間学的方法を確立したのち,数十年にわたる臨床活動の総決算として44年から53年にかけて集成したもの。ここでは,分裂病は人間存在に異質な病態としてではなく,人間から人間へ,現存在から現存在への自由な交わりをとおして現れる特有な世界内のあり方として記述される。…

※「陽性症状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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