門脈下大静脈シャント脳症

内科学 第10版 の解説

門脈下大静脈シャント脳症(肝疾患に伴う神経系障害)

(2)門脈下大静脈シャント脳症
概念
 おもに肝細胞が広範に破壊される肝硬変症でみられ,肝線維化に伴う門脈圧亢進の結果,門脈-大循環系シャントが形成されてアンモニアなどが肝で解毒されずに直接脳に達する病態である.肝性脳症の一病型と考えられているが,なかには肝硬変がなく門脈圧が高くない症例にもみられる.その原因としてEck瘻症候群などの手術時の癒着でシャントが形成されるもの,胎生期の門脈系と大循環系の交通が遺残しているものなどが考えられている.
臨床症状・病因・診断
 肝性脳症と同様.
治療
 肝性脳症に記載したことに加えて,シャントを閉塞する経皮経肝門脈側副血行路塞栓術やバルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術,門脈-大循環分流術が行われる.[中里雅光]
■ 文献
Baccarani U, Zola E, et al: Reversal of hepatic myelopathy after liver transplantation: fifteen plus one. Liver Transpl, 16: 1336-1337, 2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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