鎖・閉(読み)とざす

精選版 日本国語大辞典 「鎖・閉」の意味・読み・例文・類語

と‐ざ・す【鎖・閉】

[1] 〘自サ五(四)〙 (「戸鎖(さ)す」の意)
① 門や戸を閉じて錠をおろす。戸締まりをする。閉じる。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※和漢朗詠(1018頃)下「征路に赴いて独り行く子 旅店なほ扃(とざ)せり〈謝観〉」
② 人が通れなくなるほど草木が茂る。
※車屋本謡曲・半蔀夕顔(1541頃)「ありし教にしたがってこの五条わたりにきてみれば、〈略〉草顔淵が巷にしげし、藜藋ふかくとさせり」
[2] 〘他サ五(四)〙
① 戸をしめて営業をやめる。閉じる。
小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上「いつしか店売の本務をおこたりひたすら勧懲をば売らまくほりして竟には店を閉(トザ)すにいたりし」
② 通れなくなるように、通路などをふさぐ。閉じる。〔五国対照兵語字書(1881)〕
※方丈記私記(1970‐71)〈堀田善衛〉一「行く方途はほとんど閉ざされてしまっていた」
③ 中に閉じこめる。ふさぐ。また、おおいかくす。比喩的に、うれいや悲しみなどが心や胸をしめつける意にも用いる。
※告げびと(1913)〈伊藤左千夫〉「厭な心持に胸が鎖ざされたのである」
※しろうと農村見学(1954)〈桑原武夫〉「安家村四方を山でとざされ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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