錦繍・錦綉(読み)きんしゅう

精選版 日本国語大辞典 「錦繍・錦綉」の意味・読み・例文・類語

きん‐しゅう ‥シウ【錦繍・錦綉】

〘名〙 (「きんじゅう」とも)
① 錦(にしき)と、刺繍(ししゅう)をした織物。美しい織物。
※続日本紀‐天平宝字元年(757)八月甲午「錦繍之麗、於是出焉」
※太平記(14C後)二八「沙金四万斤、珠玉綾羅・錦繍(キンシウ)以下の重宝」
※伊京集(室町)「錦綉 キンジウ」 〔戦国策‐趙策上・粛侯〕
② 美しい立派な衣服。また、それを着た人。
※本朝文粋(1060頃)二・意見十二箇条〈三善清行〉「雕文刻鏤、錦繍綺組、傷農事女功者」 〔史記‐李斯伝〕
③ 美しい物、特に美しいもみじや花などのたとえ。
※和漢朗詠(1018頃)上「洞中には清浅たり瑠璃の水、庭上には蕭条たり錦繍の林〈慶滋保胤〉」 〔白居易‐西省対花憶忠州東坡新花樹因寄題東楼〕
④ 美しい詩文の字句、美しい文章のたとえ。
明衡往来(11C中か)下本「織文章以無錦繍之色
※当世文学の潮摸様(1890)〈北村透谷〉「徒らに文字に錦繍(キンシュウ)を重ねしむるは文字の人の為す可き業ならんや」 〔蒯希逸‐和主司王起詩〕

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