選択条項(読み)せんたくじょうこう(英語表記)optional clause

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「選択条項」の意味・わかりやすい解説

選択条項
せんたくじょうこう
optional clause

任意条項ともいい,国際司法裁判上における概念。すなわち国際司法裁判所規程 36条2項は,条約解釈,国際法上の問題,国際義務違反に関する紛争について,相手国と特別な合意なしに,国際司法裁判所の管轄自国が認め,またその決定に服する義務を負う旨の宣言ができることを規定している。つまり通常主権国家間の国際紛争は相手国との交渉,合意によって解決されるのが普通であるが,この条項の受諾宣言によって,同様にこの条項を受諾することを宣言した他の国々との間に,第三者たる国際司法裁判所の義務的管轄が自動的に発生することを認めたことになる。

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世界大百科事典(旧版)内の選択条項の言及

【国際裁判】より

…しかし実際には,裁判条約を締結しても,多くの留保を付し,裁判義務の範囲が狭められている。さらに,義務的裁判の発展のため,国際司法裁判所規程36条2項に定める,いわゆる選択条項(任意条項)の制度がある。この制度は,常設国際司法裁判所の創設過程で,一般的な強制的管轄権の提案に対する妥協案として出現したものであり,一定の紛争についてあらかじめ裁判所の管轄を受諾する旨を一方的に宣言さえすれば,事件ごとに特別の合意をしなくても,同一の義務を認める他の国家との関係において,裁判所の管轄が義務的となるという方式である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」