逸・佚(読み)いっする

精選版 日本国語大辞典 「逸・佚」の意味・読み・例文・類語

いっ‐・する【逸・佚】

[1] 〘自サ変〙 いっ・す 〘自サ変〙
① 離れる。それる。わきへはずれて走る。
② なくなる。うせる。散逸する。
※文芸類纂(1878)〈榊原芳野編〉三「遂に伝へて佚せざるを得しなり」
③ 逃げる。のがれる。
琵琶伝(1896)〈泉鏡花〉二「驚き見る間に羽ばたき高く、琵琶は籠中を逸し去れり」
逸楽(いつらく)をする。楽しむ。気ままにする。安逸にする。
文明論概略(1875)〈福沢諭吉〉五「稀に富商大賈は逸して食ふ者もあらんと雖ども」
[2] 〘他サ変〙 いっ・す 〘他サ変〙
① なくす。落とす。また、殺す。
愚管抄(1220)三「あれがやうにわがにくき者いっせんずらん」
② 逃がす。見すごす。
※山陽詩鈔(1833)一・題不識庵撃機山図詩「遺恨十年磨一剣 流星光底逸長蛇
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一〇「代議士夫人となるの機会を見す見す逸するを惜み
③ ある範囲をはずれる。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「憖(なまじ)っか自我を持揚げたり、常識を逸(イッ)したりなぞ為ると」

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