迦才(読み)かさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「迦才」の意味・わかりやすい解説

迦才
かさい

生没年不詳。中国、唐(とう)代初期の浄土教の僧。事績は明らかでない。著書に『浄土論』3巻がある。この著は、道綽(どうしゃく)の影響を受けており、また、なかに648年(貞観22)の記述がある。それらから、迦才は道綽の後輩で、善導(ぜんどう)のすこし前のころ、長安の弘法寺(ぐほうじ)に住み、摂論宗(しょうろんしゅう)を学んだのちに浄土教に帰依(きえ)した人とされる。『浄土論』には、「本(もと)より凡夫(ぼんぷ)のため」の浄土教が説かれ、往生人(おうじょうにん)20名の記述(最初の往生伝)があげられるなど、みるべきものが多い。

柴田 泰 2017年1月19日]

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