返田村(読み)かやだむら

日本歴史地名大系 「返田村」の解説

返田村
かやだむら

[現在地名]佐原市返田

下総台地北部に位置し、北は新市場にいぢば村、西は大根おおね村。集落は台地上に形成され、水田小野おの川の谷に広がる。中世香取社領のうちにあった。近世には萱田とも記される。

〔中世〕

寛元元年(一二四三)一一月一一日の造宮所役注文写(香取文書、以下中世の記述では断りのない限り同文書)に「返田王子社」とみえ、国司が造営することとなっていた。弘安元年(一二七八)一〇月一四日の香取神領田数目録によれば当地には九町二反余の香取社領田があった。鎌倉時代後期に返田などの散在司名の田畠・租穀・検田米以下は神主の進退する地であったが、神主大中臣実康が本来別相伝の地であった当村などを神主職にことよせて押領したと大中臣実秀が訴え、認められてしまったため、正安二年(一三〇〇)に実康は実秀の押領を停止したうえで、実康に付されるよう訴えて認められている(同年六月日摂政二条兼基家政所下文案写)。このような大中臣家内部の所領をめぐる内紛が起こったが、嘉元二年(一三〇四)四月二二日には実康・実秀・実胤・実幹の四人は葛原くずはら牧の返田村を含む一四ヵ村の所務を四等分して和解している(大宮司大中臣実秀等連署和与状)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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