走物(読み)はしりもの

精選版 日本国語大辞典 「走物」の意味・読み・例文・類語

はしり‐もの【走物】

〘名〙
初物(はつもの)。魚鳥、穀物、野菜などの、その季節にはじめてできたもの。はしり。一説に「走る物」の意で鹿、兎、鳥などをいう。年初に食する慣習があった。
今昔(1120頃か)二九「年の始めの走り者を生て、不食ざらむは」
雅楽舞楽で、平舞に比べると、活発な動きをする舞。左の「陵王」、右の「納蘇利(なそり)」、左の「散手(さんじゅ)」、右の「貴徳」、右の「胡飲酒」、左右の「抜頭(ばとう)」、左右の「還城楽(げんじょうらく)」が今日残っている。走舞。
教訓抄(1233)七「走(ハシリ)物は体を責めて木を折置がごとくに舞」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の走物の言及

【風流】より


[延年の風流]
 寺院の法会のおりの延年には,〈大風流〉〈小風流〉と呼ばれる演目がある。いずれも舞台には華美に飾った舟,山,車,清涼殿,塚,師子の座などの作り物が設けられ,鳥類,獣類,魚類,虫類などの被り物をつけた走物(はしりもの)と呼ばれる一団が登場してにぎやかな場面を展開するが,〈大風流〉では,王者が出て最後を舞楽で納め,〈小風流〉では臣下などワキ衆が誘(おこつり)によって風流衆を呼び出す形式をとる。これらの芸能はおもに大和の大寺で行われており,多武峰(とうのみね)にその台本が残されている。…

※「走物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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