賽ノ河原(読み)さいのかわら

日本歴史地名大系 「賽ノ河原」の解説

賽ノ河原
さいのかわら

[現在地名]箱根町元箱根

芦ノ湖畔旧東海道沿いにある。「風土記稿」によれば、初めは中世の箱根越の湯坂ゆさか路沿いにあった地蔵信仰の霊地精進池しようじんがいけが賽ノ河原とよばれていたが、近世初頭に箱根越の道が須雲すくも川沿いに開削されて湯坂路が衰退したため、地蔵信仰の霊地も移り、精進池周辺は元賽ノ河原とよばれるようになったという。

万治二年(一六五九)頃の「東海道名所記」に「さいのかハらあり。右の方にて、往来のともがら、石をつミ念仏申てとをる也」とあり、また元禄四年(一六九一)に当地を通ったドイツの医師ケンペルは「江戸参府旅行日記」に「湖畔に、粗末な木で作った五つの小さな堂が立ち並んでいた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報