資金偏在(読み)しきんへんざい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「資金偏在」の意味・わかりやすい解説

資金偏在
しきんへんざい

資金がある一定地域や機関にかたよること。 1960年代後半に日本で盛んに議論された現象で,具体的には都市銀行が恒常的に資金不足にある反面,農林系統金融機関や相互銀行,信用金庫などが常に資金余剰となっている状態をいう。こうした背景には財政資金がおもに都市から吸上げられ,地方に散布されることなどが影響しているといわれた。しかし基本的には大企業を中心に資金需要が旺盛で,それが都市銀行への借入需要の増大となって表われた面が強く,その後国債増発に伴って,その引受シェアが資金シェアを上回った。このため都市銀行は常に資金不足を日本銀行借入れと,資金余剰の金融機関からのコールマネー (→コールローン ) の取入れや手形売買でまかなうことになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の資金偏在の言及

【資金ポジション】より

…そのためコール・手形売買市場(短期金融市場)において,都市銀行はつねに資金の取り手であり,その他金融機関は資金の出し手である。短期金融市場において,こうした資金の一方通行的な流れの状態は資金偏在とよばれている。日本銀行は銀行経営の健全性をはかる見地から,たえず銀行の資金ポジションを是正すべく指導している(ポジション指導という)が,とくに金融引締め期には銀行貸出しの過度の増大から資金ポジションが悪化しないように,その動きを注目し指導にあたっている。…

※「資金偏在」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」