貝渚村(読み)かいすかむら

日本歴史地名大系 「貝渚村」の解説

貝渚村
かいすかむら

[現在地名]鴨川市貝渚

加茂かも川を挟み横渚よこすか村の南西に位置し、村の南端伊南房州通いなんぼうしゆうどおり往還が通る。東はいそ村。天正九年(一五八一)四月二二日の里見義弘夫人朱印状(妙本寺文書)に「かいすか」とみえ妙本みようほん(現鋸南町)に当地の田地五〇〇代を寄進している。義弘夫人は古河公方足利晴氏の娘で、里見領国内にあった旧足利氏領の権限を継承し、独自の印判(久栄印)を使用するなど、大きな影響力をもっていた。同六年義弘が没すると遺跡をめぐって里見義頼対立、同八年敗北し夫人は実子梅王丸とともに安房に幽閉されたと伝える。しかし同一二年に夫人が没した後も久栄印を使用した文書が発給されており、その権限が里見氏の歴代夫人に継承されていったと考えられる。同一八年里見氏が上総国を没収された直後の一〇月七日、その戦後処理を行った増田長盛は正木石見守に「かいすか村」三三〇石(本銭六五貫文)を宛行っている(「増田長盛知行宛行状」石井文書)。石見守は同九年以降義頼の命で上総小田喜領を管理していた人物で、上総国没収によりその知行地を失い、このとき長盛から新たに給知を与えられた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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