谷中谷(読み)こくちゅうこく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷中谷」の意味・わかりやすい解説

谷中谷
こくちゅうこく

一つの大きな谷の中にさらに小さい谷が入り込んでいるもの。二輪廻性の谷(にりんねせいのたに)ともいう。谷中谷の横断面の特徴は、谷壁斜面に傾斜の不連続があることで、この変換部を肩という。肩より上部壮年期または老年期の谷の横断形を呈し、肩より下部幼年谷の横断形を示す。肩は現在の谷の侵食輪廻に先だつ前輪廻の谷の形成期につくられた谷床の遺物であり、肩は以前の侵食基準面を表す。谷中谷の縦断面は遷移点を有し、回春のおこったことを示す。また、なんらかの原因により谷床堆積(たいせき)物が段丘化して、下刻によって新たにできた谷をいう。段丘面は前輪廻の谷床を表し、基盤岩が露出している場合と堆積物が厚く覆うこともある。

[髙山茂美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の谷中谷の言及

【谷】より


[谷の回春]
 谷が浸食輪廻の進行に伴ってある時期まで達した後に,地盤運動,気候変化などの原因により下方浸食が増大すると谷の若返りまたは回春が起こる。浸食の復活の結果,縦断面には滝や早瀬などの遷移点を生じ,谷壁階段,谷中谷,河岸段丘などをつくる。谷底平地をもつ谷に回春が起こると川が谷底平野面に谷を刻み,階段状の地形をつくる。…

※「谷中谷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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