諸県庄（読み）もろかたのしよう

日本歴史地名大系

諸県庄
もろかたのしよう

• 宮崎県：東諸県郡
• 国富町
• 諸県庄

宇佐大鏡に「本庄号諸県庄」とみえ、長承年間（一一三二―三五）に定められた起請田の田数は一七六町で、天喜五年（一〇五七）国司菅野政義のときに封民八〇人の代りとして寄進された荒野が神領として立券され、開発されたという。所当例済物として米三五二石・布三五二疋・田率綿一三二両・桑代絹四八疋・節料上品長絹一疋・織布八反、贄の鮎鮨桶一〇口・押鮎一千隻が賦課されるほか、放生会料として紙八八帖・班幔二〇帖・上莚三〇枚・長莚五枚・次布五反・凡絹三〇疋・相撲六人、万灯会料の油四斗二升・凡絹などが賦課されていた。庄園の実務を担当する収納使分の名田として当庄内に伊佐尾（いざお）・富松（とみまつ）・衾田（ふすまだ）がみえる。安元二年（一一七六）二月、豊前宇佐宮行幸会の綾御船の水手として当庄は二人を割当てられ、雑物として「諸県庄本庄富末」は御服綿二屯・例絹二疋・手作布七段・麻布七段・空青八〇両・色革二〇枚・紫五斤・茜五斤・紅花二斤・銅八八両を課されている（「八幡宇佐宮符写」奈多八幡縁起私記）。貞和五年（一三四九）一二月一四日、那珂盛連は当庄の先の三ヵ名の預所職を宛行われている（「沙弥某書下」郡司文書）。また当庄預所職に補任され、その得分を米一五石・白干二〇〇喉・鮨二桶と定められ（同日「左衛門尉某書下」同文書）、翌年一月には盛連が当庄預所職に補任されたことが庄内の地頭に通知されている（同月一六日「左衛門尉行忠書状」同文書）。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」