言許無(読み)いうばかりない

精選版 日本国語大辞典 「言許無」の意味・読み・例文・類語

いうばかり‐な・い いふばかり‥【言許無】

〘形口〙 いふばかりな・し 〘形ク〙
① (古くは「いうはかりなし」) 言葉では言い尽くせない程である。言いようもない程である。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「少将、いふばかりなく泣きまどひて」
平家(13C前)灌頂「かなしともいふはかりなし」
② 言うほどのこともない。たいしたこともない。とるにたりない。
太平記(14C後)二九「無云許(いフばかりなキ)人の若党共に押隔てられ」
[語誌]「はかりなし」は「計りなし」で、限度がない意。「バレト写本」に「yúfacarinaxi(ユウハカリナシ)」と見え、中世末までは清音であったと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報