観音寺居所境内(読み)かんおんじきよしよけいだい

日本歴史地名大系 「観音寺居所境内」の解説

観音寺居所境内
かんおんじきよしよけいだい

財田さいた(観音寺川・染川)いちたに(塩入川・汐入川)に挟まれた中洲上に形成された地域。財田川の北岸には大宝三年(七〇三)に創建されたと伝える琴弾ことひき八幡宮、同年その別当寺として建立されたという神恵じんね院観音寺があり、この地域の一部は門前町として中世から町場が形成されていたとみられる。また両川河口部には幾つもの浦があり、江戸時代には諸職・諸商も発達していっそうの町場化をみ、西讃の一拠点として発展した。地名としての観音寺は文安二年(一四四五)の「兵庫北関入船納帳」にみえ、二月・三月・七月・一〇月に讃岐枡で量った米・赤米・豆・蕎麦などを積んだ観音寺からの船の兵庫北関への入津が記され、三月分には山崎やまさき(現京都府乙訓郡大山崎町)への胡麻が記される。享徳元年(一四五二)閏八月一五日の琴弾八幡宮放生会祭式配役記(観音寺文書)には上市かみいち下市の住人の名がみえ、おそらく社寺門前で開かれた市にちなむ地名で、中世には今市いまいちとともに常設化していたものと思われる。また「西讃府志」の細川氏被官下の項、香川氏の条には、天霧あまぎり(現善通寺市)城主香川之景の弟景全は江甫草つくも(九十九山)城主細川氏政の養子となり、通称観音寺景全とよばれたとあることなどから、この地域を治めた者にも使われていたようである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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