裴文中(読み)はいぶんちゅう(英語表記)Péi Wén zhōng

改訂新版 世界大百科事典 「裴文中」の意味・わかりやすい解説

裴文中 (はいぶんちゅう)
Péi Wén zhōng
生没年:1904-82

中国における旧石器・古生物研究の第一人者河北省豊南県出身。1927年,北京大学地質学系を卒業後,周口店遺跡発掘に参加。パリ留学後も日中戦争まで周口店の発掘に参加する。周口店以外でも四川省資陽県,山西省襄汾県丁村などの旧石器時代遺跡の調査に参加した。中国科学院古脊椎動物与古人類研究所研究員(教授),北京自然博物館館長を歴任著書に《中国史前時期之研究》(1948),《中国猿人》(1972)などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「裴文中」の意味・わかりやすい解説

裴文中
はいぶんちゅう
Pei Wen-zhong

[生]1904.1.19. 河北
[没]1982.9.18. 北京
中国の古生物学者,人類学者,考古学者。北京大学卒業。中国科学院古脊椎動物古人類研究所教授。北京自然博物館長。 1921年に始った周口店の発掘に 28年から参加し,シナントロプスの頭蓋化石を発見した。資陽人などの中国更新世人類研究にも業績がある。主著『中国原人史要』『中国史前期之研究』『資陽人』 (1957) ,『山西襄汾県丁村旧石器時代遺址発掘報告』 (58) 。

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百科事典マイペディア 「裴文中」の意味・わかりやすい解説

裴文中【はいぶんちゅう】

中国の地質学者,考古学者。河北省の人。北京大学卒。1929年楊鍾健とともに周口店洞窟の第3回発掘を指導し,シナントロプス頭骨を発見した。《周口店発掘報告》《山西襄汾県丁村旧石器時代遺址発掘報告》など著書多数。

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世界大百科事典(旧版)内の裴文中の言及

【シナントロプス】より

…第1年目に発見されたのは下顎の左の大臼歯1本だけであったが,北京の協和医学院の解剖学教授であったカナダの人類学者D.ブラックは,この歯が大きさ,形,エナメル質の厚さ,髄腔の広さなどの点で現代人とは異なることを認め,シナントロプス・ペキネンシスSinanthropus pekinensisという名称を提唱した。調査は継続され,2年後の29年の12月になって,ほぼ完全な脳頭蓋の化石が,調査主任の裴文中によって発見され,シナントロプスがジャワのピテカントロプスに近い原始人類であることが実証された。周口店ではその後37年まで発掘がおこなわれ,40体分以上の人類化石が発見されたが,これらの資料は太平洋戦争開戦以来,行方不明となっている。…

【資陽人】より

…頭蓋は高く,前頭部は膨隆し,最大幅は頭頂結節の位置にあるなど,全般的形態からこれが新人であることは確かであるが,現代人にくらべて眼窩上隆起が強く,前頭骨や頭頂骨の湾曲が弱いなど原始的特徴も見られる。さらに頭蓋の高さが長さに比して低く,ブレグマが前方に位置するなど,クロマニョン人上洞人など他の化石現生人類よりも古い形態をとどめているところから,57年,裴文中と呉汝康はこれを中国における最古の新人とみなしたが,74年,詳細な地質学・古生物学・年代学的研究が発表され,その推定年代が7500±130B.P.まで引き下げられた結果,これは更新世人類ではなく完新世人類の頭蓋である可能性が強くなった。新人【池田 次郎】。…

※「裴文中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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