裁量行為(読み)さいりょうこうい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「裁量行為」の意味・わかりやすい解説

裁量行為
さいりょうこうい

行政行為のうち,要件または内容について法律が一義的に明確な概念で定めていないか,まったく定めていない場合,または当該行政行為を行うことが「できる」と定めている場合に,行政庁裁量に基づいてなされる行為。法律によって一義的に明確な概念で要件または内容が定められていて,法の機械的執行として行われる羈束行為に対立する概念。羈束行為の違法性裁判所の審査に服することはいうまでもないが,裁量行為が裁判所の審査にどの程度まで服するかについては,種々の考えがある。一般的には行政庁が裁量を誤ったときに裁判において違法とされうるものを羈束裁量 (法規裁量) と呼び,裁判所が統制できないものを自由裁量 (便宜裁量) と呼ぶ。

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世界大百科事典(旧版)内の裁量行為の言及

【行政行為】より

…また,行政行為の要件・手続等についても,それぞれ法による規制が存在しうる。法令が行政行為の要件および内容を完結的に,しかも一義的な文言で定めている場合には,これを〈羈束(きそく)行為〉と呼び,そうでないものを〈裁量行為〉と呼ぶことがある。
[行政行為の瑕疵と行政行為の公定力]
 行政行為が,本来あるべき態様を逸脱してなされた場合に,その行政行為には〈瑕疵(かし)〉があるという。…

【行政裁量】より

…そこで,法律は,個々の行政機関に対し,その行政活動について包括的な授権を行うことによって,基本的には法律により行政機関に対する拘束を加えつつ,しかも行政上の臨機応変な活動を保障するという要請に応じている。このように法律による包括的な授権を受けて,行政機関がその授権の範囲内で自由な裁量によって行う行政活動のことを,理論上(自由)裁量行為といい,また法律上〈行政庁の裁量処分〉(行政事件訴訟法30条)という。これに対し,行政機関の活動のうち法律により厳格な拘束が行われ,行政裁量を行使する余地のないものを羈束(きそく)行為または羈束処分という。…

※「裁量行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」