蝦夷島奇観(読み)えぞしまきかん

日本歴史地名大系 「蝦夷島奇観」の解説

蝦夷島奇観
えぞしまきかん

一三帖

別称 蝦夷奇観・蝦夷国奇観ほか 秦檍麿著

成立 寛政一二年序

写本 東京国立博物館・市立函館図書館ほか

解説 秦檍麿が著したアイヌ民族誌。寛政一一年序をもつものもある。当初は一巻ないし三巻本程度の構成であったが、しだいに増補され、最終的には東京国立博物館本にみられるように全一三帖となり、文化四年の完成となった。古説・礼・居家・機械・熊祭・漁猟・地図・膃肭漁・写生・雑図・諸外島・唐太・三邑の各部からなりそれぞれを「見ぬ人のために」図説する。本書は民族誌のみならずアイヌ語およびアイヌ語地名についても秦檍麿の見識にふれることができる。

活字本 昭和五七年刊

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蝦夷島奇観」の意味・わかりやすい解説

蝦夷島奇観
えぞしまきかん

村上島之丞 (秦檍丸) が寛政 12 (1800) 年に著わした3巻から成る蝦夷風俗絵巻。アイヌの人物,礼式,家屋狩猟具飲酒楽器舞踊,おっとせい狩り,熊祭などが描かれ,説明されている。伝写が多く後世の蝦夷風俗画に少なからぬ影響を与えた。のちに増補したと思われるものが若干みられるが,『続蝦夷島奇観』『蝦夷島奇観拾遺』も島之丞説明の増補伝写本を復元したものとみられている。『蝦夷みやげ』2冊は明治に刊行された『蝦夷島奇観』の刊本

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