苫前(読み)とままえ

改訂新版 世界大百科事典 「苫前」の意味・わかりやすい解説

苫前[町] (とままえ)

北海道北西部,留萌(るもい)支庁苫前郡の町。人口3656(2010)。地名はアイヌ語の〈トマ・オマ・イ(エゾエンゴサクがある所)〉に由来する。1787年(天明7)松前藩の特権商人の栖原(すはら)家が苫前場所の経営を請け負い,運上屋を設けて以来,ニシンを追って北上した漁民も増え,安政年間(1854-60)に漁村が成立し,明治30年代にはニシン漁の全盛期を迎えた。内陸部の開拓は1896年香川・三重両県からの団体移民の入植以後に本格化した。ニシン漁の衰微後は水産加工,製材のほか,古丹別(こたんべつ)川流域での米作と海岸段丘上の酪農基幹をなす。国道232号,239号線が通じる。
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