芳沢あやめ(1世)(読み)よしざわあやめ[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「芳沢あやめ(1世)」の意味・わかりやすい解説

芳沢あやめ(1世)
よしざわあやめ[いっせい]

[生]延宝1 (1673)
[没]享保14 (1729)
歌舞伎俳優。元禄期の名女方。本姓斎藤。その芸談『あやめ草』によれば,大坂道頓堀で色子(いろこ)綾之助として丹波亀山の郷士橘屋五郎左衛門の世話を受け,1世嵐三右衛門に役者として取り立てられ,五郎左衛門の家名とその替名権七をもらって芸名とした。若衆方から立役,のち女方となった。初め吉沢,やがて「吉」の字を「芳」に改めた。元禄11(1698)年の『けいせい浅間嶽』の三浦はあたり役で,正徳1(1711)年京都夷座座本。享保2(1717)年「三ヶ津惣芸頭」という最高芸位を得た。芸の体はまったく女なりと評され,地芸に秀で愁嘆のせりふが上手で,観客を泣かせたという。長男(元禄15〈1702〉~宝暦4〈1754〉)が 2世芳沢あやめを襲名明和1(1764)年四男(享保5〈1702〉~寛政4〈1774〉)が 3世となった。二男は山下又太郎で立役,三男は 1世中村富十郎で宝暦期の名女方。

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