篠原踊(読み)しのはらおどり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「篠原踊」の意味・わかりやすい解説

篠原踊
しのはらおどり

奈良県五條(ごじょう)市大塔(おおとう)町篠原に伝わる小歌(こうた)踊。伝承曲目が37番と非常に多く(昔は48番あったという)、古格を保つ点で注目される。1月25日の天満神社の祭りに、昼間『宝踊』『梅の古木踊』『世の中踊』の3番を踊り、夜は場所を万福寺に移して他の踊りを次々に踊る。『入破(いりは)』『長崎踊』『十七八(じゅうしちはち)踊』『あわれ立田』『忍び妻踊』『賤(しず)は高砂』『鎌倉踊』『旅のそもじ踊』などいろいろあるが、そのうち『小原木踊』『田舎下(いなかくだ)り踊』『吉野桜踊』の3曲は、代表的小歌踊の新潟県柏崎(かしわざき)市の綾子舞(あやこまい)や東京都下小河内(おごうち)の鹿島(かしま)踊と共通する。踊り手は青年男女(現在は年齢制限なし)で、男は締太鼓を打ちながら動的に、女は扇子を差し回しながら静的に踊る。県指定無形民俗文化財。

[西角井正大]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例