管方(読み)かんかた

改訂新版 世界大百科事典 「管方」の意味・わかりやすい解説

管方 (かんかた)

雅楽,特に舞楽の場合の楽器奏者の総称。舞楽の伴奏には,一般に笙・篳篥(ひちりき)・笛(竜笛あるいは高麗(こま)笛)の三管と,羯鼓(かつこ)(あるいは三ノ鼓)・鉦鼓・太鼓の三鼓が用いられるが,打楽器奏者も含め,舞楽のときの楽器奏者を管方と呼ぶ。舞台後方に,向かって右から羯鼓(あるいは三ノ鼓),笙,篳篥,笛の順に椅子に座って演奏する。また,舞台の左右には大太鼓(だだいこ)と大鉦鼓(だいしようこ)が一対ずつ置かれ,左舞(さまい)のときは左側,右舞(うまい)のときは右側の楽器を立って打つ。本来,管方は左右に分かれていて,左舞のときは左方の管方,右舞のときは右方の管方が分担するのが正式であった。なお,管方の装束は襲(かさね)装束(常装束)に袍を着用せず(羯鼓あるいは三ノ鼓奏者のみ袍を着る),鳥兜をかぶる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の管方の言及

【舞楽】より

… 9世紀の半ばごろから,これら外来音楽の内容を取捨整備し,あわせて日本人の好みに合った音楽へ改変する,いわば外来音楽の国風化の気運が高まった。舞楽の場合は,まず伴奏楽器群(管方(かんかた))の内容の整理統一や,伝来曲の改作や補作,さらには外来曲のスタイルを模しながらもわが国の好みに合った作品を創作するなどのことが行われたが,その結果,従来伝えられていた各種の外来音楽を大きく二つに分類して,唐楽(とうがく),高麗楽(こまがく)とした。これらの内容は当然,9世紀初頭の外来音楽のなかの唐楽,高麗楽とは異なっている。…

※「管方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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