筑北(読み)ちくほく

改訂新版 世界大百科事典 「筑北」の意味・わかりやすい解説

筑北[村] (ちくほく)

長野県中部,東筑摩郡の村。2005年10月坂井(さかい),坂北(さかきた),本城(ほんじよう)の3村が合体して成立した。人口5172(2010)。

筑北村北東部の旧村。東筑摩郡所属。人口1615(2000)。筑摩山地の四阿屋(あずまや)山,大林山,冠着(かむりき)山に囲まれた農山村で,犀(さい)川支流の麻績(おみ)川本支流沿いに集落が散在する。農業が主産業であるが,近年兼業農家の増加などで養蚕が大幅に減少し,エノキタケ,シイタケ栽培が伸びている。畜産団地化によって養豚,酪農なども盛んとなった。電気部品,自動車部品などの工場があり,北縁部近くに長野自動車道麻績インターチェンジがあり,JR篠ノ井線などを利用する松本市,長野市への通勤者も多い。北東端にそびえる冠着山は姥捨(うばすて)山伝説で知られ,聖山(ひじりやま)高原県立自然公園に含まれる。

筑北村北西部の旧村。東筑摩郡所属。人口2204(2000)。筑摩山地に位置する農山村。中央を北西流する犀川支流の麻績川沿いにわずかに低地がみられるほかは,起伏の多い傾斜地で,標高500~900mの間に50余の集落が散在する。近世には北国西脇往還が村を縦断して青柳宿が栄えた。現在はJR篠ノ井線が通る。主産業は農業で,稲作,畜産,野菜・タバコの栽培などが盛んだが,兼業農家が85%近くを占め,松本市,長野市への通勤者も多い。天台宗古刹(こさつ)岩殿寺がある。

筑北村南部の旧村。東筑摩郡所属。人口2230(2000)。村域のほとんどが筑摩山地に属する山地・丘陵地からなり,麻績川支流の東条川が北西流する。中心集落の西条(にしじよう)は,近世,北国西脇往還(善光寺道)の間宿(あいのしゆく)的性格をもっていた。高冷地ではハクサイなどの高原野菜が栽培され,花卉やエノキダケも生産される。肉牛を中心とした畜産も盛ん。ほとんどが兼業農家で,松本市への通勤者が多い。JR篠ノ井線が通じる。
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