立遣・奉遣(読み)たてまだす

精選版 日本国語大辞典 「立遣・奉遣」の意味・読み・例文・類語

たて‐まだ・す【立遣・奉遣】

(「たてまたす」とも。動詞「まだす」の上に、「出発させる」意の動詞「たてる(立)」の連用形「たて」の付いたもの)
[1] 〘他サ四〙 下位から上位へ、使いや物をおくる意の謙譲語
① 使いを差し出す。人をさしあげる。
書紀(720)皇極元年正月(岩崎本平安中期訓)「百済の国、天皇崩りましたりと聞りて、弔使を奉遣(タテマタ)せり」
② 物などをさしあげる。
※阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)八〇「ひとのもとへよみたてまたすとてよみける」
[2] 〘他サ下二〙 (一)に同じか。一説に、さしあげさせる、の意とも。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「御まぼり物たてまだせん」
[補注]「たてまつる(奉)」と同性質の語か。「まだす」「たてまだす」は中古前期ごろの特殊な語だったと思われる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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